不定整数方程式を合同式を使って簡単に解く方法

中級

[5]の説明

[5] \(10x\equiv1\equiv24\equiv47\equiv70\)

では、1に23を3回足して70になり、10で割り切れる数が現れました。実は、足し算を最大で9回行えば10で割り切れる数が現れます。このことは次の定理から導かれます。

(定理)

\(b\)を整数、\(a\)を正の整数とし、\(p\)を\(a\)と互いに素な整数とする。このとき、\(0\)以上\(a-1\)以下の整数\(k\)のうち次の合同式をみたすものがただ一つ存在する。

\(b + kp \equiv 0  (mod a)\)

この定理を証明する準備として、次の補題を証明することにします。

(補題)

\(a\)を正の整数とし、\(p\)を\(a\)と互いに素な整数とする。このとき、\(0\)以上\(a-1\)以下の整数\(i,j\)について次が成り立つ。

\(i \neq j \Longrightarrow ip \not\equiv jp (mod a)\)

(補題の証明)

\(0 < |i – j| \leq a-1\)より、\(i – j \not\equiv 0 (mod a)\)である。\(a\)と\(p\)は互いに素であるので、\((i – j)p \not\equiv 0 (mod a)\)である。従って、\(ip \not\equiv jp (mod a)\)である。(証明終)

この補題を用いて、定理を証明します。

(定理の証明)

補題より、\(a\)個の整数

\(0, p, 2p, 3p, \cdots , (a-1)p\)

を\(a\)で割った余りは互いに異なるので、\(-b \equiv kp\)をみたす0以上\(a-1\)以下の\(k\)はただ一つ存在する。従って、題意は示された。(証明終)

コメント