\(n>2\) のとき\(n!\) は \(n\)個の異なる\(n!\) の約数の和で、表すことができること\(\cdots\)①を証明する。
そのために、
\(n!=a_n+a_{n-1}+\cdots+a_{2}+a_{1}\)
ただし、\(a_n\) から \(a_1\) は\(n\) 個の \(n!\) 異なる約数で、\(a_1=1\)と表すことができる\(\cdots\)②
ことを証明する。[1] \(n=3\) のとき、\(3!=3+2+1\) であるから、②は成り立つ。
[2] \(n=k~~\)(\(k\)は、\(3\) 以上の自然数) のとき、②が成り立つと仮定すると、
\(k!=a_k+a_{k-1}+\cdots+a_{2}+a_{1}\)
ただし、\(a_k\) から \(a_1\) は\(k\) 個の \(k!\) の異なる約数で、\(a_1=1\)両辺に \(k+1\) をかけると
\((k+1)!=(k+1)a_k+(k+1)a_{k-1}+\cdots (k+1)a_{2}+(k+1)\)
\(=(k+1)a_k+(k+1)a_{k-1}+\cdots+(k+1)a_2+k+1\)
右辺の \(k+1\)個の項は、すべて\((k+1)!\) の約数であるから、②は\(n=k+1\) のときも成り立つ。[1][2]より、②はすべての自然数 \(n\) について成り立つから、①も成り立つ。
改めて、「具体的に考え、よく観察して、一般化する」ことの大切さ!
難しい問題の解答を見たとき、「確かにそうやったら解けることは理解できたけど、どうしたらそんな解答を思いつくのだろう」と思うことはありませんか。
解答は、試行錯誤のプロセスを省略して、結論だけを書いているので、そのように感じるわけです。実際は、上のように「具体的に考えて、よく観察して、一般化」するプロセスを経て、解答に到達する場合が多いと思います。
だから、授業で難しい問題の解答を説明するとき、どうすればそのような解答にたどり着くのか、そのプロセスを説明することが大切です。でなければ、ただ解法を暗記するという最悪の学習態度に陥ってしまいかねません。
\(2^n\)の最高位の数字の出現頻度を求める問題の、生徒の解法はお見事でした。この解法のポイントは、生徒が、
\(A(k) = \{2^{n} | 2^{n}はkケタの自然数\}\)とすると、\(A(k)\)の要素に最高位の数字が「1」のものがただ一つある。
ということに気付いたことです。こんなことは、洞察力だけでは思いつかないと思います。おそらく、2の累乗を具体的に下のように書き出してみて、
\(2,~4,~8~|,~16,~32,~64~|~\)\(128,~256,~512~|~\)\(1024,~2048,~4096,~8192~|~ \)\(16387,\cdots\)
観察することで得た洞察を、証明という形で一般化したのだと思います。
「具体的に考え、よく観察して、一般化する」ことが大切ですね!
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