ブログ

アプリ開発

新機能!:図鑑の標本写真を、撮影月ごとに表示 ー 標本の季節変化が一目瞭然に!

概要

「図鑑」を表示すると、登録されている全ての初心のスクリーンショットが表示されますが、従来は、タイムスタンプ順に表示されていました。これを、撮影された年を無視して、撮影された月日順に、月ごとに分けて表示するようにしました。植物や野鳥などの、季節変化が一目瞭然になります。

スクリーンショット

「釜谷池周辺の植物の図鑑」の「コセンダングサ」の図鑑からのスクリーンショットです。縦に長い画面を、切り取って紹介します。

9月は、まだ葉ばかりです。

10月になると黄色い花が咲きます。

11月になると、種になります。あの鬱陶しいひっつき虫です!

 

0

新機能!:植物分布地図の表示

概要

登録する写真にGPSの位置情報が付与されている場合、BPUCPhotoはそれを取得してデータベース化します。図鑑に収録されているすべての写真のGPS情報から、その標本の分布地図をGoogle Maps上に表示できます。地図上のマーカーをクリックすると、その写真の詳細が表示されます。

スクリーンショット

「釜谷池周辺の植物の図鑑」の「ヨモギ」の分布を表示したものです。

対象フィールド全体に、まんべんなく分布していることが分かります。

「釜谷池周辺の植物の図鑑」の「キバナコスモス」を表示したものです。

特定の区域に分布が集中していることが分かります。この区域の中心には、キバナコスモスがたくさん植えられている花壇があり、その周囲に種子が逸出していることが示唆されます。ただ、区域全体には広がっていないので、逸出があったとしても、その影響は限定的だと思われます。

このように、標本の分布状況を表示することで、「見かけやすさ度」だけでは分からない、様々な情報を得て、考察を深めることができます。

0

BPUC Photoアプリで、「ビッグデータ統計植物学」の可能性(その2)

実は、この「ビッグデータ統計植物学」なるものについて、「釜谷池周辺の植物の研究」に協力を頂いている植物学の専門家の先生との議論がありました。

植物名についての「割り切り」の提案

私は、BPUC Photoアプリでの「釜谷池周辺の植物の図鑑」の植物の同定について次のような提案をしました。

写真図鑑ですから、写真でしか判断できません。微妙な植物については、実際の植物を子細に観察しないと、正しい同定はできないと思います。つまり、本当にその写真に写った植物が同定した名前のものかどうかは、確かめようがないわけです。

そこで、例えば、タンポポの写真が2枚あって、どちらも上からの写真で、セイヨウタンポポかカンサイタンポポか区別できないときは、「タンポポsp.」などとせず、割り切って、1枚をセイヨウタンポポ、もう一枚をカンサイタンポポとします。別の写真で、花を下から撮影したものがあり、確実にどちらかに同定出来れば、そういう写真も、上からの写真と合わせて、「図鑑」に蓄積されていきます。「カンサイタンポポ」の図鑑にたくさんの写真が並んだら、文章での説明と合わせて、総合的に、カンサイタンポポというものがわかるようになると思います。1枚1枚の写真は、あくまでも植物の1断面という位置づけでいいと思うのです。

それに対して、植物学の先生から、「いいかげんだ」とメールでかなり厳しく叱られました。

違った立場の共同が新たな可能性を切り開く!

それに対して、私は次のように返信しました。

私は植物学を学んだことはないので、その研究スタイルについては、想像することしかできません。おそらく、植物学では、1つの植物を同定するのに、ルーペで花を子細に観察したり、根を掘り出して調べたり、標本を作ったりして、詳細に調べるのだと思います。ミクロの視点からのアプローチです。

私は、数学の教員で、コンピュータサイエンスを趣味で研究し、プログラミングをしています。今回開発したアプリの名前は、BPUCPhotoですが、このBPUCは、「Bigdata
oriented(ビッグデータ指向)Personalizable(自分用にできる)Universal(何にでも使える)Collaborative(みんなで使える)」の略です。この「ビッグデータ指向」というのが、今回の研究でも私の根底にあります。

つまり、1枚1枚の写真の同定に多少の不正確さがあっても、それがたくさん集まると、対象の植物の本質に迫れるのではないかという考え方です。数学でいう「大数の法則」です。このアプリでは、「索引」のエントリーをクリックすると、その植物の「図鑑」のページが開きますが、代表的な写真1枚と説明文の下に、その植物に同定した写真が全て並ぶという仕組みです。その写真群を眺めれば、もし同定が間違っている植物が混じっていたらすぐに分かるし、その植物の様々な角度から撮った写真や、異なる季節の異なる姿の写真を一覧することができるので、その植物の本質に迫れるのではないかという仮説が、アプリの設計思想としてあります。

ビッグデータ指向の例を一つあげると、私は生徒に、既に同定されている植物でも、心を引かれたら写真に収めるように指示しています。そうすると、一つひとつの植物を収めた写真の枚数を調べることで、近似的に、植物の出現頻度や生育密度(植物学では何というのでしょうか?)が分かるのではないかと思います。登録されている写真の枚数順に、索引のエントリーを並べる機能を実装しようと思います。「釜谷池周辺でよく見かける植物ベスト30」、「釜谷池の散歩が格段に楽しくなる、憶えておきたい20の植物名」などの企画が簡単にできます。

ビッグデータ指向は、マクロの視点からのアプローチです。

一つひとつの植物の本質に迫ろうという目的は同じですが、それぞれのバックグラウンドの違いから、アプローチが、マクロ、ミクロと、正反対なのだと思います。それが、感覚の違いを生み出しているのではないでしょうか。

ここまで考えて、私は、この「違い」こそが、もしかすると新しいものを生み出す原動力になり得るのではないかと思いました。

今回、高校の課題研究という場のおかげで、従来接点がなかった植物学の専門家と、コンピュータサイエンスを学び実践している教員が、生徒を仲立ちにしてつながることができました。これは、従来なかった画期的なことだと思います。お互いの感覚やアプローチの違いを尊重しつつ、現場では工夫して折り合いをつけながらプロジェクトを進めていけば、従来なしえなかった面白い発見や画期的な成果が生まれうるのではないかと、ワクワクしました。

先生は、この議論を受けとめて下さいました。本当に感謝しています。

「 BPUC Photoアプリで、「ビッグデータ統計植物学」の可能性(その1)」に戻る

2

BPUC Photoアプリで、「ビッグデータ統計植物学」の可能性(その1)

「ビッグデータ統計植物学」!?

大げさなタイトルをつけてしまいました。私は、植物学は全くの門外漢なので、専門家から見れば笑止千万と笑われそうですが、恥を忍んで問題提起をします。

植物学とコンピューターサイエンス。全くの異領域であるこの2つの分野をドッキングさせることで、新たな可能性が生まれるような気がしています。

明石北高校での「釜谷池周辺の植物の研究」で面白い発見がいくつかありました。

研究に利用しているBPUC Photoアプリでは、同定した植物名を、写真数の多い順にソートして表示する機能あります。

 

撮影された写真数1297枚のうち、植物名が同定されている写真が現時点で約900枚ですが、その中のそれぞれの植物を、撮影された写真の枚数順に表示しています。

1番多いのがセイタカアワダチソウ。2番目がヨモギ、これは「やっぱり」という感じです。

3番目に多いのがムラサキツメクサなのですが、これは意外な感じがしました。ムラサキツメクサはありふれた植物ではありますが、近隣の地域ではほとんど目にすることがないからです。

なぜ、釜谷池周辺には、こんなに多いのか?

例えば、ため池の護岸保護のために、グランドカバーとして種がまかれた可能性が考えられます。これについては、釜谷池の改修工事に詳しい方に聞くなど、調査を進めています。

他にもたくさんの発見があります。今、調査をした高校生が集計や考察を進めているので、結果が出たら報告します。

個体数推定の近似としての「目撃頻度推定度数」(仮称)

生物学では、個体数推定あるいは密度推定(単純に言えば生物の数を数えること)は基本的課題のひとつとされています。しかし、自然界は広大で、個体数を厳密に数えることは不可能のように思えます。推定するにも、大変骨の折れる厳密な調査が必要なのではないでしょうか。

しかし、色々な感性を持った多くの人が、たくさんの「目につく写真」を撮影して、そこに写っている植物を集計すれば、近似的な個体数推定にならないでしょうか?植物学の専門家から見れば不正確極まりないと非難されそうですが、簡便な目安ぐらいの役割は果たせそうな気がしています。

その植物の写真数を全体の写真数で割った数字を「目撃頻度推定度数」と名付けてはどうかと考えています。

統計学には、「大数の法則」というものがあります。たとえばサイコロを振り、出た目を記録することを考えます。このような試行を厖大に繰り返せば、出た目の平均(標本平均)が出る目の平均である 3.5 にどんどんと近づいていくというものです。たくさんの写真を集めれば、統計的に有意な指標になり得るのではないでしょうか。

もちろん、花があるかないか、大きいか小さいかなど、人の目を引く特徴によって植物が写っている写真の数は大きな影響を受けます。ですから、同じ区域内の植物どうして比較することには、大きなバイアスが生じると考えられます。

しかし、異なった区域間で、「目撃頻度推定度数」を比較することには、意味があるように思います。対象区域が異なっても、それぞれの植物の特徴によるバイアスは同程度と推定できるからです。

もちろん、厳密な指標でないため、学術的には認められないと思いますが、たくさんの人に、自分が目ついた写真を撮影して登録してもらうだけで出てくる指標ですから、とても簡単です。この指標で面白い傾向が出てくれば、厳密な調査を実施して、学術的な研究に発展させることができると思います。

「 BPUC Photoアプリで、「ビッグデータ統計植物学」の可能性(その2)」に進む

0