### 特徴
落葉の低木で高さ3~5mになり、海岸近くの山林によく生えている。
日本の本州(関東地方以西)、四国、九州、沖縄と、韓国の済州島に分布する。
雌雄異株で、花柱の長い雌花だけをつける雌株と、雄花と花柱の短い不妊の雌花をつける雄株がある。
花はイチジクの実のような果嚢(かのう)の中につき、4月~5月に咲く。
雄株の果嚢の中にイヌビワコバチという小さなハチが寄生しており、花粉を運ぶ。雄花序の奥側には雌花に似た「虫えい花」(雌しべの花柱が短く、不妊)があり、これに果嚢にもぐりこんできたメスのハチが産卵する。幼虫は虫えい花の子房が成熟して果実状になるとそれを食べ、成虫になる。春になって前年の果嚢の中でオスのハチがまず成虫になり、メスの入っている虫えいに穴を開けて交尾し、オスの成虫は翅がなくて飛ぶことができないのでその果嚢の中で一生を終える。一方、交尾を済ませたメスは翅があり、果嚢の先端の口部の少し開いているすき間から外へ出ていく。この頃の雄株の果嚢の口部付近の雄花はちょうど成熟しているので、メスのハチは花粉まみれになって外に出ていくことになる。外に出たハチのメスは、手ごろな大きさの若い果嚢を見つけて口部から中へ入っていく。雄株の果嚢に入り込んだメスのハチは、雌しべの花柱が短いので産卵管を子房に刺して産卵することができる。しかし、雌株の果嚢に入り込んでしまったメスのハチは、雌しべの花柱が長いので、産卵管をうまく子房に刺すことができずに産卵に失敗し、一生をここで終える。このときにメスのハチが体に着けてきた花粉は雌しべの柱頭に付着し、雌株の果嚢には種子ができる。若い果嚢では口部が弁のようになっていて、メスのハチは入ることはできるが出ることはできない。
果嚢は10月~11月に熟し、雌の果嚢は食べられるが、雄の果嚢はかたくて食べられない。
イチジクの仲間なので、幹を傷つけると同様に乳白色の液がでる。
### 名前の由来
実がビワに似ているが、あまりおいしくないことから名づけられた。
### 同定上のポイント
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イチジク:葉が掌状に3~5裂することが多く、果嚢が直径5~8cmほどと大型であるのに対し、イヌビワは葉が楕円形~倒卵状長楕円形で縁は全縁であり、果嚢も直径1.5cm程度と小型である。
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オオイタビ:常緑のつる性木本で気根を出して樹幹や岩壁を這い登るのに対し、イヌビワは自立する落葉低木である。
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アコウ:暖地に自生する高木で、幹や太い枝から直接多数の果嚢をつける(幹生花)のに対し、イヌビワは低木であり、主に当年枝の葉腋に果嚢がつく。