ヤブカンゾウ

ヤブカンゾウ

巽櫓南側の石垣の下に生えていました。

### 特徴
川や池の土手、林縁に生える多年草で、高さは0.8~1mになる。
3倍体で八重咲のものをヤブカンゾウと呼び、一重咲きのノカンゾウ、ハマカンゾウも種としては同じとされ、これらを合わせたものをワスレグサという。
ヤブカンゾウは3倍体であるため種子ができず、匍匐茎(ランナー)を出して広がる。
日本の北海道~九州と朝鮮半島に分布する。
日本では中国原産の史前帰化植物といわれているが、中国には自生していない。
若葉は、おひたしにして酢味噌で食べることができる。
花のつぼみを乾燥したものは、中華料理でスープの具として使われる。
中国の漢文で「忘憂草」として登場するため日本では古くから「忘れ草」と呼ばれ、万葉集にも「忘れ草」の名前で登場する。歌に詠まれているのは咲いている花ではなく、食用にされていた葉のことだといわれる。
### 名前の由来
藪(やぶ)のような草むらに生える「萱草(かんぞう)」であることから名付けられた。「カンゾウ」は漢名の「萱草」の音読みに由来する。
### 同定上のポイント
- ノカンゾウ:花が一重咲き(花被片が6枚)であるのに対し、ヤブカンゾウは雄しべや雌しべが花弁化して八重咲きになる点で明確に区別できる。
- ハマカンゾウ:主に海岸の岩場や砂地に生え、花が一重咲きである。また、葉が厚く光沢があり、冬でも緑を保つ常緑性であるのに対し、ヤブカンゾウは八重咲きで葉は薄く、冬には枯れる。
- ユウスゲ:花が一重咲きで淡い黄色(レモンイエロー)をしており、夕方に開花して翌日の午前中にしぼむ。橙赤色で八重咲き、昼間に開花するヤブカンゾウとは花色および咲き方が異なる。

データ

項目キー
上位接続ノード宇宙 ➔ 銀河系 ➔ 太陽系 ➔ 地球 ➔ 生物 (Biota) ➔ 植物界 (Plantae) ➔ 陸上植物 (Embryophyta) ➔ 維管束植物 (Tracheophyta) ➔ 種子植物 (Spermatophyta) ➔ 被子植物 (Angiosperms) ➔ 単子葉類 (Monocots) ➔ キジカクシ目 (Asparagales) ➔ ツルボラン科
学名Hemerocallis fulva L. var. kwanso Regel
キジカクシ目
ツルボラン科
別名ワスレグサ
分類外来種(史前帰化植物)
外来種備考中国原産の史前帰化植物
タイプ多年草
花の色オレンジ
開花時期7月~8月
備考

写真一覧

7
  • 2022-07-11
    巽櫓南側の石垣の下に生えていました。
  • 2024-07-09 地図
    稲荷曲輪の草地に生えていました。

掲示板

  • APG III(2009年)からAPG IV(2016年)への改訂で「ツルボラン科」に変更になりました。
    他にも変更になったものをまとめておきます。

    # APG III から APG IV で変更・新設された主な科

    ## 1. 独立した科(ハエドクソウ科 → サギゴケ科)
    日本の野原や道端でおなじみの植物が、新しい科として独立したケースです。

    * **対象植物:** ムラサキサギゴケ、トキワハゼ など
    * **APG III:** ハエドクソウ科(Phrymaceae)、あるいは旧分類のゴマノハグサ科
    * **APG IV:** **サギゴケ科(Mazaceae)**として新しく独立。
    * **背景:** ハエドクソウ科の中に含めるには遺伝的な差異が大きいことが明確になり、サギゴケ属(Mazus)などが独自の科として切り離されました。

    ## 2. 復活・分離した科(ミズキ科 → ヌマミズキ科)
    一度は統合されたものの、「やはり別グループにするべき」として再度分離されたケースです。

    * **対象植物:** ハンカチノキ、カンレンボク、ヌマミズキ など
    * **APG III:** 広義のミズキ科(Cornaceae)に統合されていました。
    * **APG IV:** **ヌマミズキ科(Nyssaceae)**として再び分離・独立。
    * **背景:** ミズキ科にまとめてしまうとグループの特徴がぼやけてしまうことなどから、APG IVで元のヌマミズキ科を独立させる形に修正されました。

    ## 3. 園芸植物の独立(ヤマゴボウ科 → ジュズサンゴ科)
    赤い可愛らしい実をつけ、園芸店でもよく見かける植物の分類変更です。

    * **対象植物:** ジュズサンゴ など
    * **APG III:** ヤマゴボウ科(Phytolaccaceae)
    * **APG IV:** **ジュズサンゴ科(Petiveriaceae)**として分離・独立。
    * **背景:** ナデシコ目の分類がより細かく整理された結果、ヤマゴボウ科から切り離されて独自の科が設立されました。

    ## 4. 【おさらい】科名のルール変更(ススキノキ科 → ツルボラン科)
    先ほどのノカンゾウ・トウカンゾウのケースです。これは植物の移動というより「代表となる名前の差し替え」に近い変更です。

    * **対象植物:** アロエ、ハオルチア、ノカンゾウ、ツルボラン など
    * **APG III:** 広義の **ススキノキ科(Xanthorrhoeaceae)** という名前が採用されていました。
    * **APG IV:** 広義の **ツルボラン科(Asphodelaceae)** という名前に変更されました。
    * **背景:** 中身の植物グループはAPG IIIの時とほぼ同じですが、国際植物命名規約のルールの結果、「ススキノキ科」よりも「ツルボラン科」の名前を優先して保存・使用することに決まったため、看板が掛け替えられました。
    (岩ちゃん 2026-08-20 11:24:53)
  • **YListではワスレグサ科**のままでした。
    困ったものです。何に依拠してデータを構築していったらいいのかわかりません。
    どうやら最新のAIが一番確かなようです。時代が変わりつつあるように思います。既存の権威ある図鑑が時代遅れになり、ネット上のYListですら変化についていけない?(岩ちゃん 2026-08-20 11:30:31)
  • AIにその疑問をぶつけて見ました。AIの回答は以下の通り:

    ---
    # YListが「ワスレグサ科」を採用し続ける意図的な理由

    YListが現在のAPG IV体系と異なる科名を採用し続けているのは、更新が滞っている(時代遅れである)からではなく、管理者の分類学的な見地に基づき**「あえて意図的にそのように扱っている」**と解釈するのが妥当です。その背景には、主に以下の2つの理由があります。

    ## 1. 意図的な和名の「提唱」
    YListは放置された過去の遺物ではなく、現在も日本の植物分類学者(米倉浩司博士ら)によって日々更新されている「生きているデータベース」です。APG分類体系の枠組みを理解した上で、日本国内の名称として**「ワスレグサ科という和名を提唱する」**という、専門家としての明確な意思表示(スタンス)がとられています。

    ## 2. 「統合(Lumper)」か「細分(Splitter)」かの見解の相違
    世界的な指標であるAPG分類体系は絶対の法律ではなく、学者間でも分類のアプローチが分かれます。

    * **APG IV(統合派 / Lumper):**
    アロエ、ワスレグサ、ツルボランなどを「遺伝的に近いから」という理由で、全てまとめて一つの大きな「広義のツルボラン科」とする立場。
    * **YList(細分派 / Splitter):**
    「遺伝的に近くても、形態や生態がこれほど違うグループを一つにまとめるのは大雑把すぎる」とし、日本の植物相を整理する上でより実用的な「狭義のワスレグサ科」を独立させて維持すべきだとする立場。

    ## 3. 結論
    「システムが古いから」ではなく、「より細やかな分類を維持する方が実用的かつ適切である」という分類学者の意図的な判断が働いています。**国際的な最新基準(APG IVにおける広義のツルボラン科)**と、**国内の専門家が提唱する実用的な基準(YListにおける狭義のワスレグサ科)**が共存しているのが、現在の植物分類学のリアルな状況と言えます。
    (岩ちゃん 2026-08-20 11:38:17)
  • shibashibaさん、どうしたらいいと思いますか?
    (岩ちゃん 2026-08-20 11:45:11)
  • すごくよく調べられているのに驚きました。ツルボラン科かワスレグサ科かどちらがよいかという問題ですね。APG IVの分類による「新維管束植物分類表」を見ると、科名の学名としては先に発表されていたAsphodelaceae(ツルボラン科)が採用されましたが、和名はワスレグサ科とされています。
    広義の科.狭義の科ということではなく、内容としてはツルボラン科、ワスレグサ科、ススキノキ科とされていたものが全て統合されています。新維管束植物分類表であえて学名と異なる和名を採用している理由については、引用書物を探して調べてみたいと思います。
    YListや新維管束植物分類表では、科名や属名で学名と異なる和名を使っていることが時々見られます。日本にない植物よりも日本に生育したり馴染みのある植物の方がわかりやすいからだと思います。この考え方であれば、ワスレグサ科の方が日本にある植物なのでわかりやすい気がします。ただ、インターネット上ではワスレグサ科とツルボラン科が混在しているのが気になります。

    (shibashiba 2026-08-20 16:48:48)
  • 調べてみました。AIのいうような統合派と細分派の確執ということは見当たりません。AIはどこから情報を引っ張ってきたのでしょうか。
    科の名称は、学名ではその科に含まれる代表的な属の名称が使われます。命名規約では先に記載された学名が優先されるので、ツルボラン属をもとにしたAsphodelaceae(ツルボラン科)が採用されました。しかし和名の場合は何も規約がないので、学名に使われた属名を和名に使わないといけないという制約はありません。そのためY-Listでワスレグサ科を採用しているのは、その科の中で日本に生育する種を含む属の和名を使う方がわかりやすいという考え方からのようです。
    APG IVに変わったときに、Y-List製作者の米倉博士(東北大学・植物園・助教)は論文などではツルボラン科の名称を使われていました。一方、伊藤博士(東京大学大学院・教授)は上記の考え方からワスレグサ科の名称を使われていました。
    米倉博士がY-Listや新維管束植物分類表の作成にあたり伊藤博士の考え方を採用したということのようです。日本植物園協会誌第49号(2014年)に米倉博士が書かれている記事を見つけました。
    AIは情報源がはっきりせず、いろんな情報を重みをつけずに集めてきて作文するため、矛盾する複数の情報がある場合、質の悪い誤った情報が多ければ間違った結論を断言していることがよく見られます。AIの情報を鵜呑みにするのは危険です。注意して取り扱う必要があると思います。
    よって、ツルボラン科かワスレグサ科かという問題は、個人的にはワスレグサ科の方を支持したいと思います。
    他にも、アオキ目かガリア目か、アオキ科かガリア科か、サカキ科かモッコク科か、という同様の問題があります。全て、Y-Listや新維管束植物分類表に従っておくのがよいと考えます。
    (shibashiba 2026-08-30 16:16:26)