### 特徴
全長は40〜60cmほどで、太く短い体型をしている。頭部は上から見ると大きな三角形をしており、首は細い。瞳孔は縦長(猫目状)である。
体色は褐色から灰褐色で、背中には「銭形模様」と呼ばれる黒い輪状の斑紋が左右交互に並ぶのが大きな特徴である。尾の先端は黒ずんでいることが多い。
威嚇時には尾を素早く振るわせて地面や落ち葉を叩き、音を立てることがあるが、鳴き声は持たない。
### 分布と生息環境
北海道、本州、四国、九州および周辺の島々に分布する。
平地から山地の森林、竹林、水田、農地、河川敷、草むらなど、湿気のある環境を特に好む。水辺近くで見られることが多く、石垣の隙間や倒木の下、草の陰などを隠れ場所とする。
### 食性
肉食性である。カエル類、ネズミなどの小型哺乳類、トカゲなどの爬虫類、鳥類、小型の魚類などを捕食する。
目と鼻の間にあるピット器官(赤外線感知器官)を使って温血動物の体温を感知し、素早く噛みついて強い毒(出血毒)を注入する。獲物が弱って動かなくなったところを丸呑みする。
### 行動・習性
基本的に単独で生活する。春や秋などの気温が低い時期は昼間に日光浴を行って体温を上げるが、夏の高温期には夜行性が強くなり、夜間に活発に活動する。
おとなしい性格であり、自分から積極的に人を襲うことは少ないが、危険を感じたり踏みつけそうになったりすると、首をS字に曲げて攻撃姿勢をとり、素早く噛みつく。冬季は洞窟や石垣の隙間、樹洞などで冬眠する。
### 繁殖・子育て
夏から秋にかけて交尾を行い、翌年の夏から秋(8〜10月頃)に出産する。
卵ではなく、体内で卵を孵化させて幼蛇を産む「卵胎生」である。一度の出産で2〜10匹ほどの幼蛇を産み落とす。親蛇による子育ては行われず、生まれたばかりの幼蛇はすぐに独立して生活を始める。幼蛇も生後間もなくから毒を持っている。
### 人との関わり
日本を代表する毒蛇として知られ、噛まれると激痛や腫れ、組織壊死を引き起こし、手当が遅れると死に至ることもあるため大変危険である。農作業や山林作業、ハイキングの際に遭遇しやすく、被害例が多い。
一方で、古くから滋養強壮の薬用(「マムシ酒」や乾燥させた生薬)や食用として利用されてきた歴史を持つ。
### その他
名前の由来は、体を丸めて構える「丸虫(まむし)」に由来するという説や、目玉の模様に由来する説などがある。
同定上のポイント
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アオダイショウ:幼蛇の時期は背中に斑紋がありマムシに非常に酷似するが、アオダイショウは胴体が細長く、瞳孔が丸い。また、マムシのような明瞭な銭形(輪状)模様や大きな三角形の頭部を持たない。
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ジムグリ:幼蛇は鮮やかな赤褐色の地に黒い斑紋があり誤認されやすいが、頭部が小さく体型が細い。また、目から口にかけて黒い帯模様(涙紋)があることで区別できる。
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ヤマカガシ:体に赤色や黄色の斑紋が入ることが多く、マムシのような左右交互に並ぶ銭形模様はない。また、瞳孔は丸く、頭部もマムシほど明確な三角形にはならない。