### 特徴
全長は7〜11cm程度の小型のサンショウウオである。
頭部は比較的大きく、上から見ると丸みを帯びた卵型をしている。
背面の体色は黄褐色から暗褐色で、細かな暗色斑や微小な白点が散在する。腹面は灰白色から淡いピンク色を呈する。
尾は側扁しており、特に繁殖期のオスでは上下のヒレが発達して高くなり、帯状になる。
### 分布と生息環境
日本固有種であり、本州の瀬戸内地方(兵庫県西部、岡山県、広島県、山口県など)および四国(香川県、愛媛県など)に分布する。
平地から丘陵地の落葉広葉樹林、竹林、雑木林、およびそれらに隣接する水田やため池、湿地などの周囲に生息する。
### 食性
肉食性である。
陸上で生活する成体は、小型の昆虫類、クモ、ミミズ、ワラジムシなどを捕食する。
水中生活を送る幼虫は、ミジンコなどの微小なプランクトンやユスリカの幼虫、小型の水生昆虫などを食べる。
### 行動・習性
主に夜行性であり、昼間は落ち葉の下や倒木、石の隙間、土中の穴などに潜んで身を隠している。
降雨時や湿度の高い夜間に活発に移動する。
繁殖期を除いて陸上で単独生活を行っており、集団を作ることはない。
### 繁殖・子育て
繁殖期は1月から4月頃にかけてである。
雨の降る夜などに、成体が繁殖水域であるため池、水路、湿地などの静かな止水域へ集まる。
メスは水中の枯れ枝や水草に一対のあけび状(嚢状)の卵嚢を生み付ける。卵嚢の表面には微細なしわが見られる。
親は産卵後すぐに陸上へ戻り、卵や幼虫の世話は行わない。孵化した幼虫は外鰓を持ち水中で成長し、初夏から夏にかけて変態し陸上へ上がる。
### 人との関わり
直接的な利用価値や産業的な関わりはほとんどない。
しかし、近年の土地開発や道路建設による生息地の破壊、水田の乾田化やコンクリート護岸化による産卵場所の喪失により、生息数は減少傾向にある。
環境省のレッドリストにおいて絶滅危惧II類(VU)に指定されている。
### その他
本種はかつて広義の「カスミサンショウウオ」に含まれていたが、近年の遺伝的・形態学的な研究により複数の種に再分類され、瀬戸内地域に分布する群が「セトウチサンショウウオ」として新種記載された。
同定上のポイント
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カスミサンショウウオ:主に九州に分布する。外観は非常に類似するが、遺伝的に明確に区別され、分布地域により識別できる。
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ヤマトサンショウウオ:近畿地方から中部地方にかけて分布する止水性サンショウウオであり、分布地域が異なる。
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アキサンショウウオ:中国地方西部に分布する。分布域の境界付近で近接するが、遺伝的系統および形態の微細な差により区別される。
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サンインサンショウウオ:山陰地方に分布する。中国山地を隔てて分布域が分かれており、地理的に識別が可能である。