特徴
アメリカ合衆国東部のアパラチア山脈周辺原産の落葉高木で、高さは20~25mになる。明治時代初期に渡来し、全国各地で砂防用に植えられたものが野生化したことから、日本全土に帰化している。川の上流域での砂防治山事業で使われたため、種子や枝が流されるなどして川沿いに分布することが多い。
葉は、奇数羽状複葉で互生し、全体の長さは12~25cm。小葉は薄く3~11対あり、楕円形で長さ2~5 cm。葉柄の基部に1対の鋭いトゲ(托葉に由来)がある。
花は5月~6月に咲き、花粉は昆虫が運ぶ。本年枝の葉腋から白色の総状花序を出して蝶形花を下垂する。花序の長さは10~15cm ほどあり、甘い芳香のある長さ18~20mmの白い蝶形花を多数つける。
風で倒れやすい上に根や切り株から萌芽することから、野生化したものが駆除しにくいので嫌われている。
ハリエンジュの林は葉の展開が初夏になることから下層にササや草が密生して他の樹木が侵入できず、生物多様性を低下させるので問題があるといわれている。
一方で、花がきれいなことから街路樹や公園に植えられたり、花から上質の蜂蜜が採れることから重要な蜜源植物となっている。
葉、果実、樹皮は毒性があるが、花は花穂ごとてんぷらにして食べることができ、おいしい。また、花をホワイトリカーに漬け込んで、甘い花の香りのするアカシア酒を楽しむこともできる。
日本の侵略的外来種ワースト100に選定されている。
名前の由来
エンジュという名はイヌエンジュの古名「エニス(恵爾須)」が転訛したものとされ、針のあるエンジュということで名づけられた。
学名のラテン語の直訳から、ニセアカシアとも呼ばれる。
同定上のポイント
- エンジュ(中国原産)
葉の基部にトゲがない
小葉は細長く、先端は鋭く尖る
葉裏は灰白緑色で白毛が全面に密生する
小葉柄は長い毛が密生する
- イヌエンジュ(日本固有種)
葉の基部にトゲがない
小葉は卵形で、先端は鈍く尖る
葉裏は帯黄緑色で淡褐色の軟毛が密生する
小葉柄は淡褐色の軟毛が密生する
- ハリエンジュ(北アメリカ原産)
葉の基部にトゲがある
小葉は円みがあり、先端はやや凹む
葉裏は淡緑色で脈上に短毛がある
小葉柄は帯黄緑色の軟毛が密生する